【テンプレあり】BtoB向け導入事例作成方法と押させておくべき6つのポイントを徹底解説!

近年、SaaSなどのクラウドを始めとした製品からオンプレミスの製品まで多種多様なBtoB向けの製品・サービスが多く提供されるようになっています。BtoB向けの商品やサービスは、さまざまなマーケテイング手法で自社製品・サービスに興味を持ってもらうコンテンツの作成・拡散がとても重要なものとなります。

BtoB製品・サービスに興味を持ってもらい、最終的に成約に繋げるための施策のひとつとして、導入事例作成があります。しかし、単に事例を作成して自社のHP上に掲載するだけでは、導入事例はなかなか読まれません。今回は「読まれるための導入事例」の作成方法をご紹介し、特に押さえておくべき6つのポイントをご紹介いたします。

※本ページ下部に無料の事例テンプレートもあるので、参考にしてみてください。

事例取材代行

目次

①事例作成に向けたターゲティングと取材先選定の考え方

自社製品やサービスの事例作成を進めるにあたり、最も重要な事前準備が取材先の選定となります。既に多くの企業と取引がある場合、最近複数の取引企業が増えている場合などそれぞれの企業によって状況が異なると思いますが、どの企業にアプローチするかの優先順位を決めることが必要となります。

自社のターゲットにマッチしているか

事例作成を進めるにあたりどの事例から作成するかは、製品・サービスのマーケティング戦略に関わってくるでしょう。マーケティング戦略としてどの業界や業種に優先的にアプローチしたいか?やどのような規模感の企業にアプローチしたいか?など自社のメインターゲットとする企業を軸に据えて、優先順位を決めていく必要があります。

例えば、基幹業務(ERP)などの製品を展開しているSAPは導入対象企業となる中堅〜大手企業をターゲットに事例を掲載しています。一方で、中小企業向けに会計ソフトを展開しているfreeeは、中小企業を中心に親しみやすさと読みやすさを重視した事例を掲載しています。自社のターゲットとなる企業を明確化し、ターゲットにマッチする取材先の選定を進めていくことが重要です。

取材依頼先は充分に確保できているか

事例作成にあたり取材依頼先がなければ、取材をすることはできません。当たり前のことですが、事例作成をするにあたり、自社製品を導入してもらっている企業が一定数存在することは最低限必要です。また、導入企業数が少ない場合でも、自社製品・サービスを導入する前に顧客との関係性をうまく構築することで事例取材をすぐに受けてくれる場合もあります。マーケティングと営業チームで状況に応じてうまく連携しながら進めてゆく必要があるのです。

自社製品・サービスをしっかりと活用頂いているか

製品やサービスを導入しているユーザーで、自社内でなかなかうまく活用できていない場合、事例インタビューを受けてはくれません。また、ユーザーからの問い合わせや質問対応などをうまく対応してもらえてない場合も事例取材に対応することに乗り気ではないでしょう。

あるお客様では、事例取材で訪問したのに、サービスやサポートへの不満が多く出てきたため事例コンテンツとして記事作成ができなかった。というケースもまれですがありました。ユーザーが自社製品・サービスを気持ちよく使って頂いており、しっかりと活用頂いていることをあらかじめ確認しておくことも良い事例記事を作成するために必要となります。

②「読まれるための導入事例」に必要な3つの共通点

ここからは、ターゲットとなる顕在顧客に対して導入事例の記事を読んでもらうための3つのポイントをご紹介致します。読み手が導入事例の課題や状況を自分ごととして捉えて、その製品・サービスを導入することで、どう乗り越えていったのか?導入後の課題はどのようなことがあったか?などに加えてターゲットとの共通点を明確にすることが必要となります。

共通理解を得られる業界・業種の共通点

総務省と経済産業省が発表した経済センサス活動調査によると、2021年6月時点の全国の企業数は約367万4000社あると言われています。その中でも企業分類をし、共通点を見つけられるのが業界・業種の分類方法です。特に各業界では、特有の文化が根付いているため専門用語や業界特有のシステムなど共感が得られやすい共通点を使うことができます。

一方で、インタビューする側の知識不足や事前調査不足になってしまうと、この共通点による共感ポイントが得られない事例記事となってしまいます。もし、インタビューの経験やナレッジが社内になければ外部のプロや専門家に依頼することをおすすめします。

同類の企業サイズとして認識される企業規模の共通点

企業規模も導入事例を作成する上で、アピールする重要なポイントとなります。どの製品・サービスをどのくらいの規模の企業が導入しており、価格面、機能面などに満足して利用しているかを知ることは、導入を検討している企業において、とても重要な指標となります。

例えば、100名規模の中小企業が導入を検討しているけれど、HPに掲載されている事例が5000名規模の企業しかなければ中小企業で導入を検討している方は、「自社にはマッチしないのではないか。」「他に中小企業の導入数が多い製品を探してみよう。」となるでしょう。

同じような悩みを抱える企業課題の共通点

導入事例を作成する上で、業界・業種や企業規模の他に重要な点が共有の課題認識です。多くの場合、企業や組織において、何かしらの課題を抱えているため、製品・サービスの導入を検討する企業がほとんどです。そのため、導入事例を作成する場合、取材した企業は導入前に具体的にどういう悩みや課題があったのかや、それらの悩みや課題に対してどのような対策を検討したのか、などを可能な限り詳しく深掘りしていく必要があります。

担当者のインサイトを深掘りすることで、単なる企業や組織としての課題だけではなく、現場のリアルな声を事例化することができ、そこではじめて共感を得ることができるコンテンツが作成することができます。

③取材依頼の際に理解しておくべき5つのポイント

次に事例取材を進める際の全体的な流れについてご紹介いたします。事例インタビューを実施する前に必ず理解しておかないといけないのが、事例記事掲載までの全体的な流れです。事例記事を作成するということは、想定以上に事前の準備が必要となり、取材先によっては掲載完了に数ヶ月かかることもあります。

自社営業担当との関係性はどのような状態か

BtoB事例作成の場合、多くの場合は営業担当やサポート担当など、ユーザー企業に対しての接点を持つ担当者が存在します。そのような現場の担当者との調整なしに、急に事例取材の依頼をしてしまうと、トラブルの元になるケースもあります。

例えば、自社製品・サービスに関わることでユーザーにトラブルが発生した場合、トラブルの真っ只中に事例取材の依頼をしてしまうと、ユーザーも現場の担当者も良い思いはしないでしょう。当たり前のことですが、必ず取材前には現場へのヒアリングを行うことが必要です。

どのような流れで取材依頼を実施するか

現場の状況を把握した上で、どのような流れで取材依頼をするかも確認する必要があります。自社の現場担当者から依頼をするのか、マーケティング部から取材依頼をするのか、もしくは業務委託をしている専門業社の方から取材依頼をしてもらうのか、等を明確にした上で取材依頼・日程を調整していきましょう。

どのような内容で取材依頼を実施するか

事例取材の依頼をおこなう場合、ユーザー側もメリットがないと取材を受けてくれない場合があります。その場合はどのような方法で取材を依頼すれば良いのでしょうか?

ユーザーとの関係性が構築できておらず、取材をどうしてもおこないたい場合は、

-Amazonギフト券の配布
-1ヶ月分の利用料を50% Off

などのメリットを提供することで取材を受けてくれる確率を向上させる手法もあります。一方で繁忙期に依頼しても、もちろん忙しくて取材をお断りされてしまうため、各企業や組織、担当者の状況に応じて依頼方法を取捨選択していきましょう。

取材依頼の際に何をどこまで依頼するか

インタビューを実施する上で、どのようなタスクがあり、いつまでに終わらせる必要があるか、をユーザー側に提示する必要があります。

例えば、インタビュー前に依頼しておく事項として

-企業や製品のロゴ利用許諾
-事例取材前のFAQの回答依頼
-取材場所の確保依頼
-WiFi環境の確認(オンライン取材の場合)

など、確認事項や依頼事項は多くあります。そのため、何を依頼して、いつまでに完了しないといけないのか等を管理し、すぐに把握できるようにしておくことが必要となります。

事例作成後どこにどのように掲載されるか

事例取材完了後、原稿の確認をユーザー側でもおこなって頂き、その後、どこにどのように掲載されるかについても事前に案内をしておく必要があります。掲載後は、事例記事の掲載が完了した旨と取材ご対応して頂いたお礼メールを必ず送り、引き続き良い関係性を保つことも忘れてはいけません。

④事例記事を作成に向けた導入事例の形式

事例記事を作成するにあたり、どのような形式にするのかも考える必要があります。記事を作成・掲載していく中で、記事の形式を変更するとなると再構成の時間がかかってしまいます。なんとなく形式を決めるのではなく、なぜそのような形式にするかの目的や理由を明確にして、形式を決めるようにしましょう。

対談形式(Q&A型)の事例記事

対談形式は、質問(Question)に対して回答(Answer)がある形式となります。現場の担当者の生の声を直接記事化することで、よりリアルに導入課題や目的を伝えることに重視した形式となります。

一方でデメリットとしては、情報がまとまっていないため、サマリーとして短時間で読むことができない点にあります。そのため、多くの企業は次にご紹介する、3人称形式のルポルタージュ形式を採用することが多くなっています。

3人称形式(ルポルタージュ形式)の事例記事

3人称形式のルポルタージュ形式は、新聞のニュース記事などでもよく使われている形式です。構成するのが難しい一方で、より客観的に情報を整理して伝えることができるため、読み手の手間を省き分かりやすく、読みやすい記事となります。多くの企業では、この形式を採用していますが、社内での構成などが難しく、時間がかかるため、プロのライターや事例取材を専門とする方に依頼することが多いようです。

⑤読まれる導入事例の書き方5つのポイント

導入事例を作成するにあたり、ユーザーに興味を持ってもらいしっかりと「読んでもらえる事例」を作成することが重要となります。ここからは、どのようにして「読んでもらえる事例」を作成すれば良いかを5つに焦点を絞りご紹介いたします。

導入事例は「起承転結」でストーリーを作る

ターゲット層となる業界・業種や企業規模と同様の方にインタビュー取材ができても、要点がまとまっておらず、読むことに苦痛であれば本来読んでもらえるはずの記事も「読んでもらえない事例」となってしまいます。

文章の基本となる「起承転結」で構成されており、誰が読んでも分かりやすく、読みやすい内容を作成する必要があります。以下のような流れだと理解しやすいと思います。

起・・・ストーリーの始まり。背景なども含めた企業のストーリーと展開するきっかけが起こる。
承・・・ストーリー展開の課題に向けて解決策を模索するセクション。解決に向けて話が進んでいく。
転・・・ストーリーの流れを変える部分。製品導入での解決を伝える。一番伝えたい内容。
結・・・結果とこれからについて。事例記事の締めくくり。

このような、起承転結を意識するだけで、文章構成は段違いに改善し、読みやすい内容となります。

タイトルには具体的な「成果」を入れる

導入事例作成するにあたり、多くの記事の場合、約2000文字から5000文字となることが多いです。しかし、長文の文章を読んでいる暇もない方が多いのがビジネスの世界です。

その場合、要点をまとめることに加えて誰がみてもわかりやすい定量的な数値で表す事でどのような効果や成果があったかを伝えることができます。

例えば、以下のA案とB案のどちらが具体的に理解できますか。

A案:事例取材サービスを活用し、毎年3件の事例公開件数が5倍の15件に伸長!
B案:事例取材サービスを活用し、KPI目標としていた取材公開件数を達成しました!

A案のタイトルが記事を読まずとも、どういう結果だったかが一目でわかります。一方でB案は記事の内容を読み込まないとよくわからない内容となっています。

具体的なエピソードを入れる

導入事例は、「ユーザーの視点」から伝えることで、情報としての信頼感を得やすくなります。そのため、具体的なエピソードを文章内に入れて文章を構成することで、読み手に自分ごととしてリアルに捉えてもらうことができます。簡単な例にあげると、「丁寧なサポート対応」と表現するよりも、「〇〇機能の使い方がわからず問い合わせしたところ、オンラインで画面共有しながら〇〇機能の使い方を説明してくれた。」というように具体的なシーンを入れることで説得力が増します。こうした情報は、HPでの機能紹介や活用メリットといったコンテンツでは表現しにくいものです。エピソードを加えることで、導入事例の利点である、お客様の声を反映させることが可能となります。

課題等のマイナス要素も入れる

導入事例は、ユーザーの生の声を文章にまとめて上手に伝えることでリアリティを持たせることができます。しかし、良い面ばかり伝えても信ぴょう性に欠けてしまいます。そこで重要なポイントは、あえてマイナス面も伝えることです。マイナス面を伝えることで、ユーザー目線では、実際に製品・サービスを導入する際に気を付けるポイントを知ることができます。

例えば、「はじめは上手くいかなかった」など、つまずいたポイントや課題となるポイントがあれば、それを乗り越えたストーリーが読み手にとって参考になるのです。ユーザーの不満があるという見せ方ではなく、課題を乗り越えた成功ストーリーとして見せることが重要となります。

定量的(数字)・定性的(感想)な効果を入れる

導入事例の一番のメインコンテンツ(読み手やユーザーの知りたいこと)は、製品・サービス導入後、「どのような効果があったのか。」という箇所になります。効果という内容をもっと詳しく深掘りすると、定量的(数字)な効果と定性的(感想)な効果の2つに分類されます。

定量的(数字)な効果

定量的(数字)な効果は、文章の中でも一際目立つ内容となるのでインタビュー前からどの程度定量的な効果が出ているかやそれらの数値を外部に公開しても良いかなどは可能な限り確認しておくとインタビューをスムーズに進めることができます。一方で定量的な効果が出しにくい製品・サービスも存在します。その場合は、定性的な効果として表現することが必要となります。

定性的(感想)な効果

定性的(感想)な効果は、導入した製品・サービスの中で、効果として数値化できないものを指します。例えば、「働きやすい環境になった」や「ミスコミュニケーションが減った」、「チーム内での情報共有が楽になった」などの感覚的な評価や心理的な評価が定性的効果に該当します。特に導入事例を作成する際には、この定性的な効果をユーザーのリアルな声として加えることで信ぴょう性のある質の高い記事を作成することが可能となります。

⑥導入事例の全体構成と【サンプルテンプレート(ppt版)】

導入事例を作成する中で特に重要な資料が、事例PDF資料です。事例PDF資料を作成することで、マーケティングのリード獲得施策としても利用できますし、営業資料としても有効活用ができ、幅広く使われることになります。この事例PDF資料は多くの方が使うため、読みやすさを考慮した全体構成設計が重要となります。

基礎構成と全体レイアウト

事例作成を進めるにあたり、主に必要となる項目は以下があります。

・導入企業の基本情報(社名・業界・業種など)
・ユーザーの基本情報(氏名・役職・部署など)
・導入背景
・導入した決め手
・導入の際の課題
・導入後の効果
・今後の目標と展望

基礎構成をベースとし、これらの情報をレイアウトする事で違和感なく読みやすい導入事例を作成する事が可能となります。

企業情報とプロフィール

導入事例はいろいろな情報を記載する必要がありますが、はじめに基本的な企業情報から企業に関わる沿革などの歴史的な情報まで記載すると良いでしょう。読者の知らない、企業カルチャーやバリュー、ミッションなど何を重要視しているか等を知ることで、なぜその製品やサービスを利用するに至ったかなど背景がより鮮明にイメージする事が可能となります。

事例タイトル

タイトルは事例作成において、最も重要なエリアの一つとなります。タイトルを見るだけで、詳細が一目でわかり、読みたくなるようなフックになることが理想的です。タイトル作成のコツは、「具体的な成果」を入れることがポイントです。

事例サマリー

BtoB製品・サービスを提供している場合、事例の読み手はビジネスに関わる方々です。多くのビジネス関係者は、忙しいため全ての事例記事をこと細かに読んでいる時間がないのが実情です。そこで重要となるのが、要点をまとめてあるサマリー部分です。文章でまとめて概要として伝えるのも良いですが、おすすめは、リスティクルという手法で、複数の項目を箇条書きにしてまとめた形式です。

例えば、以下のリスティクルを例にみると、「課題」「きっかけ」「効果」の流れで分かりやすくまとまっているため、30秒もあれば概要が掴める内容となっています。

・毎週のデータ集計、分析、改善資料の作成で夜遅くまでの残業が続き、人事部内の課題となっていた。
・A製品に出逢いトライアル後、使いやすいUIとリーズナブルな価格が導入の決め手になった。
・導入後、わずか半年で3,800時間/月の工数を削減。皆が定時で帰宅できワーク・ライフバランスが実現できている。

このように、サマリーをまとめることで、どこの段落を詳しく読み進めたいかの「目次」的な役割ともなってくれます。

事例の各見出し

導入事例において、各見出しはサマリーやリスティクルをもとにした「目次」引用の役割があります。そのため、サマリーやリスティクルの中でさらに重要な箇所を使う必要があります。例えば、先ほどのA製品導入の決め手は、「使いやすいUI」と「リーズナブルな価格」になるため、これらの情報を見出しに挿入しておく必要があります。

このように、単に読み手を惹きつける見出しだけではなく、読み手が読みやすい構造を考えながら事例を作成していく必要があるのです。

本文

導入事例の本文は、タイトルや見出しに記載することが難しい「ユーザーの想い」や「ユーザーの生の声」を長文でも伝えることができます。事例取材をする中で、短い文章にまとめることが難しい、ユーザーの経験や考えを詳しく想像できるように丁寧に作り込むことが重要となります。ユーザーの実体験や経験を上手に文章にまとめて伝えることで、他の営業資料等では作成のできない唯一無二のコンテンツを作り出すことができます。

写真やその他画像

今までは構成やタイトル、見出し、文章などのテキストに関わる点をご紹介してきましたが、テキストと同等もしくは、テキスト以上に重要なのが写真などのイメージ図になります。特に現場をより鮮明にイメージできるように資料を作成するためには、写真は必須となります。

担当者や企業ロゴの写真、その他現場の写真等を活用することで、注目を集め読み手に興味関心を持ってもらうことができます。

最後に

いかがでしたでしょうか。数あるマーケティング施策の中でも、事例作成は特に重要なウェイトを占める施策になります。

一方で、安易に事例を作成してしまうとせっかく時間をかけたのに「読んでもらえない事例」営業に「使ってもらえない事例」ができあがり、制作した時間が無駄な時間となってしまいます。事例作成の際には、今回ご紹介した点を特に注意して準備し、進めることでより良いコンテンツが作れるでしょう。

事例取材代行サービスについての記事も掲載しておりますので、ご参考にして頂ければ幸いです。

少しでもマーケティングに関わる方々のお力になれれば幸いです。

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