BtoB事業を展開している企業にとってコンテンツマーケティングは、最も重要なマーケティング施策の一つです。将来自社商品やサービスを購入する可能性のある潜在層や購入を検討中の顕在層にとって価値のあるコンテンツを提供することができれば、自社商品やサービスの見込み顧客となり、最終的には商品やサービスのファンとして定着まで至ることも可能となります。
影響力のあるコンテンツマーケティング施策を展開するには、現状を分析した上でどのような施策が自社にとって効果的なのかを理解する必要があります。地道に施策を練り、検討し、泥臭く施策実行しながら、より良い施策を見極めていく必要があります。
今回はBtoBコンテンツマーケティング施策を実施したいけれども「何から始めれば良いかわからない方」、「自社のコンテンツの効果を高めたい方」向けに、BtoBコンテンツマーケティングの基礎知識から有効な活用事例をご紹介します。
目次
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、潜在層や顕在層、既存顧客など自社製品を購入する可能性のあるターゲット層に価値あるコンテンツを提供することで、見込み顧客を醸成し、商品やサービスの購買に繋げるためのマーケティング手法となります。
見込み顧客に対して有用なコンテンツを配信し、自社商品やサービスをしっかりと理解した上で購買して頂き、長期的に有用に活用していただくことが主な目的となります。コンテンツマーケティングは、自社製品やサービスを理解して頂くことで、短期的な売上増加だけではなく、中長期的な収益貢献が可能となります。
具体的に「コンテンツ」とはどのようなものでしょうか?
一般的にBtoBマーケティングで使われる「コンテンツ」とは、広義の意味で使われることが多く、テキストベースのブログ記事や動画といったオンラインベースのものはもちろんのこと、オフラインのセミナーや説明会にいたるまで様々なものを対象としています。
ユーザーファーストのコンテンツの重要性
コンテンツマーケティングをはじめる上で最も重要なポイントは「ユーザーが欲しい情報や興味のある情報が何か?」を明確にすることです。自社が得たい成果ばかりに囚われると、結局自社の自己満足のコンテンツとなり、誰も興味のないコンテンツになってしまいます。
では、どのような観点でコンテンツを考えると良いのでしょうか?
弊社では主に以下のような点に思慮をめぐらせ、コンテンツの方針を決めていきます。
- ユーザーはどのような悩みがあるのか
- その悩みを自社でどのように解決できるか
- どのようなコンテンツに興味を持ってもらえるか
- その時のユーザーのインサイトはどのようなものか
- そのコンテンツに触れた後、どのような行動をとるのか
このように考えることでユーザーの心理状況や行動を仮説立て、ユーザーの必要とするコンテンツへと落とし込んでいきます。
BtoBにおけるコンテンツマーケティングの役割
一般消費者向けとなるいわゆるBtoCでは特に単価の安い商材の場合、購買における意思決定のハードルが低いため、ターゲット層が魅力的なコンテンツを見た後、商品の購入に繋がることも珍しくはありません。しかし一方で、BtoBの場合はどんなにコンテンツが魅力的であっても、その商品を認知してからすぐには購入に至らないケースが多いのです。
なぜならば、
- 購買の意思決定者が複数人であることが多い
- 購買単価が数百万円から数億円と価格が高いケースが多い
- 検討期間も長期に渡る場合がある
という理由があるからです。
自社商品・サービスに興味を持っても、資料を取り寄せて社内で共有したり、オンラインで調査して他社比較をしたりするなどのケースが多いため、すぐに受注に繋がらないケースが少なくありません。
そこでユーザーが商品を認知してから購買の意思決定に至るまでの一連の流れをしっかりと理解しておく必要があります。
BtoBマーケティングではターゲット層となるリードを獲得してから受注まで一連のプロセスの中で、ユーザーと継続的なコミュニケーションを取り続けなければなりません。そのため、各フェーズの中で適切なコミュニケーションをとり、徐々に顧客の検討度合いを高め、最終的に受注まで持っていきます。
このような購買プロセスの流れを理解した上で、それぞれのフェーズにおいてどのようなコミュニケーションを取れば良いのかを考えて、適切なコンテンツを配信していくことが現代のBtoBマーケティングには必要不可欠となります。
しかし、日本国内の多くの企業で適切なコミュニケーションで受注までのプロセスを上手く設計できている企業は非常に少なく感じます。理由としては、ABM(Account Based Marketing)やMA(Marketing Automation)など現代マーケティングの知識不足、BtoBマーケターの人手不足などが主な要因だと考えられます。
しっかりと人材を確保し、リード獲得から受注までのプロセスを設計、適切に潜在顧客にコンテンツを提供することで、この一連のプロセスはあなたの会社の強みの一つとなるのは間違いないでしょう。
過去にABMとMAについてご紹介していますので興味ある方はこちら▼▼
ただし、このリードを生み出すプロセスから受注まで、全てコンテンツマーケティングのみで解決するわけではありません。他の部署との連携や協力なしにはABMやMAは絶対になし得ないでしょう。
コンテンツマーケティングでは、ユーザーの状況に合わせたコンテンツを準備し適切に配信することで、ターゲットとなる間口を広げて新規リード創出をおこなうことができます。これらのユーザー理解には営業やカスタマーサクセスなどの部署と連携し、ターゲットの求めるものを理解する必要があります。
次に具体的なコンテンツマーケティング施策事例をみていきましょう。
BtoBでコンテンツマーケティング施策事例
ここでは有効活用されている以下のコンテンツマーケティング施策例をご紹介します。
- 事例コンテンツ施策
- ホワイトペーパー施策
- メルマガ施策
- コンテンツSEO施策
事例コンテンツ施策
事例取材による事例コンテンツ施策はBtoB企業では、一般的になりつつあります。自社に導入する製品やサービスが高額であればあるほど、他社の導入事例や導入後の声を知りたいと思うのは当然のことでしょう。
事例コンテンツを制作するにあたり、何を目的にするかでウェブ上の設計や見せ方も大きく変わります。例えば、リード獲得を目的とした場合はウェブ上に全ての記事を出すのではなく一部の記事を公開し、全編公開のPDF資料を資料請求して頂くようにすることでリード獲得から商談に繋げやすくなるでしょう。
また、ターゲットがエンタープライズ企業だとすると、同じ業界で誰でも知っているような大手企業の事例取材記事を掲載することで、より信頼度が増し、導入を検討している方は記事を読んでみたいと思う方は多いのではないでしょうか。当社の支援しているクライアント様でも事例コンテンツ施策で月間のリード獲得数が4倍以上に増加した例もあります。
一方で事例コンテンツ施策は、すでに導入企業が存在する製品や満足してその製品やサービスを使って頂いている場合に限ります。その点は注意が必要でしょう。
事例取材の知識や経験がない場合は知識や経験が豊富な外部パートナーを探すと良いでしょう。弊社でも事例コンテンツ施策を支援するサービスを提供しているので、お気軽にご相談ください。
弊社事例取材サービスはこちら
https://nulbirth-marketing.jp/lp/usecase-service/
ホワイトペーパー施策
ホワイトペーパーとは、ユーザーにとって価値がある情報が載った資料のことで、市場環境や技術動向の分析・製品紹介・他社製品との詳細な比較や課題解決コンテンツなどがまとめられた資料のことをさします。
近年ではリードを獲得するためのマーケティング施策として主にBtoBで活用されています。というのも、企業が自社WEBサイトに掲載したホワイトペーパーは、ユーザーが個人情報を入力することでダウンロードできる仕組みにしているため、企業側はWEBサイトに訪問しているユーザーの個人情報を比較的簡単に得ることができます。また、ユーザー側からしても、無料で専門性の高い情報や製品の検討材料となる資料を得ることができるのはホワイトペーパーの良い点でしょう。
ホワイトペーパーとよく比較されるものとして営業資料がありますが、ホワイトペーパーと営業資料では根本的に対象者と目的が異なるので注意が必要です。ホワイトペーパーと営業資料をほとんど同じ資料として利用している企業が存在しますが、あなたの会社ではどうでしょうか?
ホワイトペーパーは、潜在顧客を含めた顧客を対象とし、その課題解決のための参考資料を提供することに対して、営業資料は自社サービスに興味を持っている顧客を対象に、サービスの概要や導入することで得られるメリットを伝えるために作成された資料になります。
そのため、ホワイトペーパーは企業のサービス自体には興味がなくてもホワイトペーパーのテーマに興味があればWEBサイトからダウンロードするケースがありますが、営業資料はサービス自体に興味がある人しかダウンロードしないという違いがあるので注意しましょう。
メルマガ施策
BtoBでのメルマガとは、企業がマーケティング施策の一貫で顧客に配信するメール配信施策のことを指します。企業が発行するマーケティング施策としてのメルマガを配信する場合の目的は、大きく「直接的な購買機会の創出」と「顧客からの信頼獲得」の2つに分けることができます。
当然、マーケティング施策ですので、いずれも最終的なゴールは「売り上げの増加」です。しかし、事業形態によって「メルマガを配信する目的」と、それに伴う「メルマガで配信すべき内容」は大きく異なります。
直接的な購買機会の促進
1つ目の目的は「直接的な購買の創出」のために、主に販促したい商材の情報を送るメールです。最も身近な一例は「バーゲンセールなどのキャンペーン告知」や「クーポンの送付」でしょう。顧客の購買意欲を掻き立てるキャンペーンやクーポンの情報と併せてECサイトへのリンクを送付し、即時の購買を促すメルマガです。購買に至るまでのリードタイムが長いBtoB事業の場合、「商材の資料ダウンロード」や「無料トライアルの申し込み」など、商談につなげるための施策となります。
顧客からの信頼獲得
2つ目の目的は、顧客からの信頼獲得です。顧客にとって有益な情報を発信し、信頼度の向上を図ります。もちろん最終的なゴールは「売り上げの増加」ですが、1つ目の「直接的な購買機会の創出」とは異なり、即時に売り上げに繋がるわけではありません。
例えば、メルマガで新規導入事例や自社で発信しているブログ記事などを定期的にお知らせすることで、「この企業のコンテンツは学ぶことが多い」や「他社ではどのように使われているかが学べる」と思って頂き、有益なコンテンツをお届けしつづけることで「頼りになる企業だ」「専門的な知見を豊富に持っている企業だ」というような印象を抱いていただき、中長期的に商材の売り上げへと繋げることができます。
また、既存顧客の場合は、アップセルやクロスセルといった「顧客単価の向上」や、サブスクリプション型の商材であれば「解約率の改善」が目標となるため、既存顧客への定期的な情報提供も重要となります。
もちろん、重視するのは単なるKPIなど指標の「数」ではなく「顧客のメリット」を基点にメルマガで配信する内容を検討する必要があります。強引に売り上げに繋げようと顧客がメリットを感じない情報を配信すれば、かえって信頼を失いかねません。また、配信する頻度が多すぎてもネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。メルマガの戦略を検討する際には「顧客は本当にこの情報を求めているか」「この情報は本当に顧客にとって有益か」と、慎重に考えて配信しましょう。
コンテンツSEO施策
コンテンツSEOとは、良質なコンテンツを継続的に発信して積み上げることで、Yahoo!やGoogleなどの検索エンジンから自社へのウェブサイトに集客するマーケティング施策です。コンテンツSEOはSEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)対策の一種です。
現在のWebマーケティングの世界では、コンテンツSEOの理解なしに検索エンジンから効率的に集客することは困難でしょう。コンテンツSEOでは各検索キーワードに応じて、受け皿となるコンテンツ(ページ)を整備することで、アクセス数の増加やその後のコンバージョンによるリード獲得をめざします。
BtoB企業では一般的に潜在層をターゲットとして、潜在層に有用なブログコンテンツを提供し続けることで、徐々に自社サイトへの流入数が増加し、コンバージョンへ繋がることもあるでしょう。しかし、コンテンツSEOでリードが急増することは難しいでしょう。中長期的な視点でコンテンツを増やすことで、徐々に流入数が増え、コンバージョンも増えてくるので忍耐力と継続性が成功のカギとなります。
まとめ|ターゲットに合わせたコンテンツ提供が成功のカギ
本記事では、BtoB企業がコンテンツマーケティングを成功させるための考え方と事例を紹介しました。
BtoB企業は認知から購入までの道のりが長く、複雑であることが多くあります。
コンテンツマーケティングを行うときは、必ずターゲットと目的を明確にした上で、コンテンツ形態・内容を最適化し、PDCAをまわしていくようにしてください。 あなたの企業のコンテンツマーケティングが成功することを心から願っています。