2020年3月ごろから拡大し始めた新型コロナウィルスの影響により、オフラインマーケティング施策を主軸に実施していた企業は、デジタルマーケティング施策に戦略の主軸を変更せざる得ない状況になっています。
デジタルマーケティングでも全体設計の中核を担うといっても過言ではないのが、MA(マーケティングオートメーション)の活用です。オンラインでのリード獲得(デマンドジェネレーション)から案件受注までの数値を可視化し、さまざまな施策を自動化することで、人件費がかかる営業主軸のプッシュセールスからインバウンドでの案件獲得が見込めるようになります。しかし、
- 「MAを導入したいが何から始めれば良いか分からない」
- 「MA導入後、自社で運用できるか不安。。。」
- 「MA導入から活用までのステップを知りたい!」
という方向けに本ブログではMA導入のステップからMAツール選定方法までを詳しく解説します。ぜひ、自社導入の前に参考にして頂ければ幸いです。
それでは早速MA導入ステップとおすすめのMAについて紹介したいところですが、MAについて詳しく知らない方のためにまずは、MAの基本的なことから紹介していきましょう。
目次
MA(マーケティングオートメーション)とは?
MAとはマーケティング用語でMarketing Automationの略称で、収益向上を目的としてマーケティング活動を自動化するツールのことをさします。MAを導入することによって、見込み顧客のデータ管理から一人ひとりの興味関心を考慮したコミュニケーションが可能となります。
たとえば、BtoB向けの勤怠システム導入を検討している企業がいるとします。その企業が1ヶ月後に製品を導入する場合と1年後に導入を検討している場合だと、見込み顧客に提供する情報が異なります。特に製品価格や企業規模などが違えば検討期間も変わってくるため、見込み顧客に合わせた情報を提供する必要があります。
そのため、各顧客の規模やステータス、担当者役職などを属性ごとに分けて情報提供をすることにより、見込み顧客獲得から受注までを見逃すことなくアプローチできる仕組みを構築しないといけません。
しかし、MA導入を目的化してしまうと結局うまく使えず終わってしまう企業も多く存在します。実際に多くの導入企業がMAの主要な機能となる「スコアリング」「シナリオ設計」「メール送信」を難しい(使いこなせないと)感じているようです(参照:Mtame「2019年マーケティングオートメーション意識調査」)
加えて、MA運用中に専門家の意見が必要と感じた場面があると答えた回答者は94%と、多くの企業が専門家のサポートが必要だと感じているようです。(参照:Mtame「2019年マーケティングオートメーション意識調査」)
わたし自身も過去事業会社でいくつかのMAを導入し、活用経験をしました。MAはうまく使えると、とても便利で強力なマーケティング支援ツールとなります。一方で、効率的かつ効果的に活用するためにはさまざまなポイントを押さえておく必要があります。私の実体験をもとに気をつけるべきポイントをご紹介します。
MA(マーケティングオートメーション)導入の必要性とは
そもそもなぜMAが必要なのでしょうか。MAが使われ始めた背景や歴史から紹介していきましょう。
MA(マーケティングオートメーション)の歴史
MAの歴史は1992年から始まったと言われています。マーケティング先進国であるアメリカのUnica社がMAの原型となる製品を開発し提供をはじめましたが、残念ながら当初はインターネット普及率やデジタルマーケティングという施策を実施している企業がほとんど存在しなかったため、アメリカ国内でMAの有効性が浸透することはありませんでした。
Unica社のはじめてのMA製品提供から7年後の1999年に、Eloqua社が提供するMAが本格的に注目され市場の拡大が始まりました。
MAの市場が拡大したのは1990年代にSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)が誕生したのも大きな要因になっていると考えられます。営業管理の前段階をMAが補うことにより、見込み顧客獲得から受注までの顧客管理をするためのツールとして活用されるようになりました。
顧客データ管理やメール配信、コンテンツ管理、データ分析などのシステムは個別で使われていましたが、MAとSFAの登場によりさまざまな機能をパッケージ化したことで一部の企業での導入・利活用が進みました。
それから2004年以降には高速インターネットの普及やクラウドでのMAのツール提供がされるようになり、市場の拡大は急速に進みました。
SFAという営業支援システムもさらに普及しMAと連携することにより、一気通貫した見込み顧客の管理ができるようになるのです。目的はあくまでも売上拡大で、受注までの管理ができないとMA導入の意味がないということが歴史的な背景から見てもわかると思います。
日本でのMA(マーケティングオートメーション)普及について
1990年代、日本国内のBtoB業界では主に営業力を主軸としたアウトバウンドでの案件獲得やお得意様へのアップセル・クロスセルが主流となっていました。
しかし、日本経済が不況に入り、取引先の倒産や取り引き打ち切りなどが発生し、営業力だけで頼ることが非常に難しくなりました。その頃から徐々にBtoB業界でもマーケティングを行う必要性が高まり始めました。日本でのMA利活用の市場が拡大し始め、日本のデジタルマーケティングの夜明けとなるのです。
Google Trendの検索データによると2016年〜2018年ごろをピークに低下しつつありましたが、新型コロナウィルスの影響により、MA活用を含めデジタルマーケティングに再度注目が集まりつつあるようです。
(参照:Google Trend「マーケティングオートメーション 2012年〜2021年」)
それでは次にMA導入における8つのステップについて詳しく解説していきましょう。
MA(マーケティングオートメーション)導入における8つのステップ
MA導入において特に重要とされる8つのステップについてご紹介します。わたしが実際にMAを導入・活用した経験をもとに解説していきます。
MA導入活用において以下の8つのステップが特に重要と感じました。各ステップの内容を細かく説明していきましょう。
- 全体プロセスの設計
- 各プロセスの目的・ゴールの設定
- 見込顧客の把握・ペルソナ分析
- コンテンツ作成・整理
- 見込顧客とのコミュニケーションフロー策定
- マーケティング部門と営業部門の役割分担
- 自社サイトへの導入
- 運用フローの構築・運用
ステップ1:全体プロセスの設計
MA導入する際に最も重要なのが、見込み客獲得から受注までの全体プロセスの設計です。「どのような流入経路で見込顧客のCV(コンバージョン)が取れ、どうメルマガ(メールマガジン)などのテックタッチによるナーチャリングを実施するのか。」
その後、「何をもって商談と判断し、有効リードを営業に渡し、商談・受注となった場合はどのような流れで各ステータスを把握するのか。」
MA導入にあたって「自社の利用しているシステムとの親和性はあるのか。」
など全体設計をするうえで、どう数値化し分析するのかを把握しておく必要があります。自社で定義した数値を全体プロセス設計で可視化できるような設計をしましょう。
これにより、経営層、営業部、カスタマーサクセス部など企業全体での案件ステータス定義の認識一致をすることにより、後々の数値共有や報告をする際に毎度説明する必要がなくなり、各部門間や組織全体の課題感のズレがなくなるでしょう。
ステップ2:各プロセスの目的・ゴールの設定
全体のプロセス設計を明確化したら、次に自社の業界・業種・営業手法などをもとに、MAの導入によって成し遂げたい各プロセスの途中経過のゴールや目的設定する必要があります。
MA(マーケティングオートメーション)の導入効果を把握
MAの大きな導入効果は、全体的なプロセス設計・数値化することで、フォローしきれていなかった見込顧客や、これから獲得する見込顧客とのコミュニケーションを構築することです。これにより受注可能な案件のステータスを見逃すことなく、スピーディーに受注に繋げ、最終的には効率的な売上向上の効果に繋がります。
また、今まで手動で対応していた業務を極力自動化することで、より効率的かつ効果的に見込顧客とのエンゲージメントを進めることも可能となります。
しかし、MA導入によって期待すべき本来の効果は、エンゲージメントの強化ではなく、その先にある「商談化」「受注」「LTV向上」となります。各社の状況により求められる成果が変わるため、社内の各部門組織やチームメンバーとすり合わせをした上で目的・ゴールを決めましょう。
たとえば、BtoB向けの商材であれば自社製品の問い合わせや資料ダウンロード、ホワイトペーパーのダウンロードなどのリードに対してのメルマガやウェビナー施策効果になります。効果指標はエンゲージメント率などさまざまですが最終的には商談化率/数、受注率/数をみることになります。
ここでの注意点は、「営業に質の高いリードを継続的に提供する」など定性的な数値化されない目標になると結果が良いか悪いか判断ができません。必ず数値化できる目標を設定するようにしましょう。
ステップ3:見込顧客の把握・ペルソナ分析
MA導入の前に自社の見込顧客リストがどのように管理されておりリスト化されているか把握する必要があります。また、そのリストに対してどういうアプローチがなされているのか、を確認しましょう。
多くの場合自社のリストが散在しており、見込顧客リストを把握・整理してから導入・活用する必要があります。見込みデータがExcelやSpread Sheetなどでリスト化されているもの、SFA/CRMで管理されているもの、名刺として各営業担当が管理しているものなどを有効活用するために、獲得した見込顧客情報を一元管理できるようにデータ整理をしましょう。
見込顧客情報の整理
毎年企業では見込顧客獲得に向けさまざまな施策が実行されます。獲得したリストは自社のDBに蓄積するために列や行の整理をする必要がありますが、多くの企業が、「リストの統合」や「重複チェック」「名寄せ」「既存顧客の排除」「競合他社の排除」などが実施されていないケースがあります。
また、当時のアプローチ方法に関する情報や実行結果まで入力記録されているケースはSFA/CRMツールを導入・運用している企業でなければうまく整理できていないことがほとんどです。
そのため、MA導入前に確認する項目として、リスト総数の確認からその内の何件が見込顧客リストになるかを確認する必要があります。いくつものファイルに分かれていることがあるため、データの整理・統合、現状の把握をするところから進めていきましょう。
MAを上手に活用していくポイントとして、見込顧客のデータをどこまで取得・データ化できているか。というのも重要です。見込顧客の「業界」「企業規模」「予算」「職位」「導入予定期間」などがわかっていると、その属性に合わせたコミュニケーションを実施することが可能となります。BtoBでは、同業他社での導入実績や成功事例を検討時の参考情報として求めるユーザーがとても多いため、業界業種や企業規模の情報は商談の際に有効なデータとなります。
データ整理が困難な場合
残念ながら多くの場合MA導入は他の業務と並行で進めるため、すべての見込顧客データをクリーニングにするのが難しいのが現状です。費用はかかりますが、データクレンジングサービス(重複チェック、名寄せや部署・役職の最新データへの更新、及び業種や企業規模のフラグ付をしてくれるサービス)を利用する方法もあります。営業が日々の活動の中で、名刺交換した情報をスキャナで読み込み、リスト化してMAに一括エントリーするサービスもあるため、リソース不足の場合は専門業者にデータ整理・一括エントリーをしてもらうというのも良いでしょう。
ステップ4:見込顧客のペルソナ分析
MA導入においてどのような見込顧客をマーケティングファネルで受注まで落とし込むか、明確なターゲットを把握する必要があります。そこでよく使われている手法がペルソナ分析です。
MAに限らず、さまざまなマーケティング施策を実施するにあたり、質の高いプロモーションが必要です。特に昨今では多くの企業がコンテンツマーケティングに力を入れており、情報過多な状態になりつつあります。
そのような状態の中、なんとなく施策実行していても有効な施策を打つことは難しいでしょう。仮に施策が有効だったとしても、明確なターゲットを想定していないと施策の再現性が難しくなります。
そのため対象となる見込顧客のペルソナ設定が非常となります。ユーザーのペルソナを想定し、ターゲット層により質の高いコンテンツを提供することでファンや興味関心を持ってもらう必要があります。
ターゲットの明確化の手段
見込顧客を明確化することにより「どこで」「誰に」「いつ」「どんな」情報を提供すれば関心を高めてくれるかのイメージもついてくると思います。しかし、マーケティング部門だけでこのペルソナを判断するのは危険です。顧客との接点がある営業やカスタマーサクセスなどの部門と連携しアドバイスをもらうことにより、さらに現実的なイメージが湧いてくるでしょう。
ペルソナを検討する際には日々顧客と向き合っている営業やカスタマーサクセスなどのメンバーと共有することでより精度が上がるでしょう。また、既存顧客をマーケティング調査ということで深層インタビューするのもおすすめです。
ナーチャリングのためのスコアリング機能
MAの主要な機能としてリードスコアリングがあります。この機能は見込顧客のデータをもとに属性を振り分けし、数値化するという機能です。これにより自社DBに存在するリードの関心度や商談確度の傾向を把握することができます。
スコアリングの数値が高ければ高いほど、受注への角度が高くHotリードと定義し、数値が低ければWarmリード、ゼロに近ければColdリードとするのが一般的です。例であげるとスコアリングの得点を付与するアクションとして以下のようなものがあります。
- Webサイトからの資料請求
- ホワイトペーパーのダウンロード
- 自社製品の価格ページ閲覧
- オンラインセミナー(ウェビナー)視聴
- メールマガジンの開封
- メールマガジンのリンクをクリックする
- 無料トライアルの登録
- 無料の会員登録
このようなアクションをスコアリングすることで、見込顧客は自社製品の理解を深め、購入検討フェーズ、稟議書作成フェーズなどに入ります。そのため、見込顧客のペルソナに沿って稟議書などで汎用的に利用できるような資料も準備しておくと、自然な形でアクションを促し、受注までスムーズに進めることができるでしょう。
一方で思うように受注まで至らない、ということも多々あります。そのような場合は全体設計した箇所のどこが問題かを分析し、改善に努めるとともに数値では把握できていない問題もあわせて分析材料として検討するのも良いでしょう。
ステップ5:コンテンツ作成・整理
全体のフローが決まり、ターゲットが明確化されたら次は各フェーズにおけるコンテンツを準備することが必要となります。多くの企業は各フェーズにおけるコンテンツが不足している場合があります。
そのため、細かくさまざまなコンテンツを準備しようと考える担当者もいますが、まずは大枠で最小限必要と思われる箇所のみを準備し、運用していきましょう。MA運用を進めていく中で、コンテンツの追加や改善をしていくことをおすすめします。コンテンツの準備に時間がかかり、結局プロジェクト自体が止まってしまうという失敗事例も多々あります。そのため、最小限のコンテンツのみを準備し不足分は後々追加、改善していきましょう。
たとえば、BtoBの製品・サービスの場合以下のようなコンテンツとなります。
- 製品・サービス説明資料
- 既存ユーザー導入事例資料
- 製品活用動画(ウェビナー動画)など
- Before & Afterの費用対効果資料
最終的には業界別や企業規模別、職位別などに細かくコンテンツを準備して運用改善をしていくことで、各ターゲットに向けたコンテンツ提供をできれば良いですが、まずは最低限のコンテンツで運用開始していきましょう。
ステップ6:マーケティング部門と営業部門の役割分担
導入効果を最大化するために、マーケティング部門と営業部門の役割及び情報流通の仕方を検討する必要がります。
MA導入において必要なのがマーケティング部門と営業部門、経営組織の連携、共通の目標設定、明確な役割分担です。マーケティングの役割やKPIでよく勘違いされがちなのが、新規見込顧客の創出やHPページビュー数、イベント(ウェビナー)開催数などのKPIです。あくまでもこれらは通過点です。
マーケティングと営業部門が同じ目標を目指すには、目標値も同じ到達点に意識を合わせなければなりません。そのため、マーケティング部も目標設定は受注目標を意識した目標設定をする必要があります。
以下のような項目の具体的な数値を営業や経営組織と連携し目標設定しましょう。
- 売上高
- 利益額、利益率
- 市場占有率(シェア)
- 認知度、イメージ向上
MA活用のための営業部の役割
営業部門に必ず協力してもらうべきポイントは下になります。
- 見込顧客のペルソナ策定
- コンテンツの企画
- 既知の顧客の場合のBANT情報の共有
- 有効リードの評価
- 有効リードへのアプローチと結果の共有
- 有効リードの担当割り振り
MA活用のためのマーケティング部の役割
主にマーケティング部門が対応する内容は以下になります、
- MAツールの運用
- コンテンツの制作・公開
- 有効リードの営業連携
- リスト整理とDBへのリスト追加
- 結果のレポーティング
MAはマーケティング部門のための便利ツールではありません。それぞれの企業の「営業手法」を改善し、全体の生産性向上と売上拡大を目指すためのインフラです。したがって、各部門組織の共通認識としてどう活用し、どう改善していくかをしっかり議論する必要があります。
ステップ7:自社サイトへの導入
MA導入の際には、さまざまな作業が必要となります。各作業の対応者と期限を定め、進めていきましょう。MAを導入する際の作業として、主に以下5つの作業があります。
- タグの設置作業と発火確認
- DNS/SSLサーバ証明書の設定
- ユーザーロール設定
- ウェビナーなどのツール連携設定
- SFA/CRMツールとの連携
タグの設置作業と発火確認
自社サイトにMAタグを設置し問題なく稼働しているかの確認作業となります。対象はすべてのページとなります。そのため、タグマネジメントツールであるGTM(Google Tag Manager)を使い設置することをお勧めします。GTMを使うことにより、わざわざタグをすべてのページに挿入する必要がなく、1箇所にGTMを挿入することで設置完了となります。設置完了後、問題なくタグが発火されているかの確認も忘れずにしましょう。
また、企業によっては外部に公開されているページもあれば、ナーチャリング用の一般非公開ページや登録会員だけが閲覧できる会員サイトなどを運営している企業もあるでしょう。一般非公開のサイトや会員サイト、採用ページや外販パートナー向けサイトなど、一見有効リード獲得と関係がないようなページにもタグを設置するようにしましょう。
このMAタグが設置されていないページはユーザーが訪れた際にスコアをつけることができません。たとえば、採用ページや外販パートナー向けのページをユーザーが閲覧していたら、スコアをマイナスするなど、マイナスのスコアリングもできるので、全ページにタグを設置しましょう。
DNS/SSLサーバ証明書の設定
MAツールにはお問い合わせや申込みなどで利用するフォーム生成機能があります。これらの機能はHTMLやSQLなどのスキルのないユーザーでも簡単に管理画面から生成できるようになっています。その際、実際のフォームはMAツールのサーバ内に設置されることになります。表示ドメインを自社サイトと同様にする場合はDNSの設定をしましょう。
また、SSLサーバ証明書もツール側のサーバに設定する必要があります。サブドメインを利用したりする場合も多いと思いますが、自社のドメイン管理会社やWebサーバを外部委託している場合、簡単に設定変更ができるかや変更する方法などを事前に確認しておきましょう。
MAツール導入の際にこれらの設定については各MAツールの販売業者が詳しく説明し、サポートをしてくれるので各MAツールの販売業者の指示に従って進めていきましょう。
ユーザーロール設定
MA導入にあたり、誰が管理者で運用者が誰か、またレポート作成を確認する担当者、メルマガ作成担当者、LP作成担当者などさまざまなロール(権限)設定が可能なMAツールが増えています。
全ての担当者に管理者権限を与えてしまうと、各々が設定変更や追加でユーザーを増やしたりすることによりMA運用が煩雑になってしまいます。必ず権限付与する際は、必要に応じたユーザーロール設定で振り分けをしましょう。
ウェビナーなどのツール連携設定
近年、日本でも多くの企業でウェビナー(ウェブセミナー)施策が利用されています。このような施策を実施する場合に、MAツールと連携することにより申込者や参加者のステータス管理をすることが容易となります。
また、どの経路からウェビナーへの申込みがあったか、有効リードはどのチャネル経由からの申込み率が高いかなどを細かく分析することも可能です。わたし自身もMAツールとウェビナーを活用した施策で400名超のユーザーを獲得し、受注につなげる施策の仕組みづくりを過去に構築することができ大きな成果に繋がりました。
ウェビなー施策を実施するか否かは、企業や製品の戦略の方針にもよりますが、必ず設定しておいて損はないでしょう。
SFA/CRMツールとの連携
MAを活用するにあたり、営業フォローや商談の進捗確認などをSFAやCRMツールと連携しておくことでリード獲得から受注までを一気通貫して可視化することができます。MAツールの導入と同時にSFAやCRMを導入する場合は情報取得項目などを、導入前にすり合わせ設計することができるためスムーズに導入が可能となります。
一方で、既にSFAやCRMを導入済みの企業がMAツールを導入し、既存のSFAやCRMと連携する場合には少し注意が必要となります。MAツールが取得したデータをどのSFAやCRM側のデータと連携するか、細かく設計しておく必要があります。
この連携設計をしっかりやっておかないと、MAからSFAやCRMに連携するはずのデータが連携されていなかったり、連携する必要のない不要なデータが連携されてしまったりすると、データ管理や情報統制が難しくなる場合があります。もし、不安な場合は当社NulBirthのような専門家に相談して進めることをおすすめします。
ステップ8:運用フロー整理とABM(アカウント・ベースド・マーケティング)の構築
MAは導入した時点で自動的に運用が進むものではありません。導入してからが本格的な運用改善のスタートとなります。
導入後、MAを運用してみたけれど営業に連携されるリードが全く対象外だったりする場合や営業に連携されるリード数が少なく営業部からスコアが低いリードも連携してほしい、などの声が上がる場合もあるでしょう。
また、提供コンテンツの質が悪く見込顧客の購買意欲が高まらない場合やメール配信のタイミングが悪くクリックされないなど、実際に運用してみて認識される課題も必ずでてきます。このような多くの課題を洗い出し、それらのに課題に対して優先順位づけをおこない適切な対策を講じていくことでリード創出の質とスピードはどんどん上がっていきます。
運用を開始して1カ月〜2カ月でどの様な課題や改善すべき箇所があるか、営業部やカスタマーサクセス部などにヒアリングをおこなうことで、定期的なフィードバックを受け改善していくことが必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。MA導入にはMA単体の導入で終わるのではなく、セールスやカスタマーサクセスで利用するSFAやCRMとの連携活用が必要不可欠でしょう。そのためには、全体的なプロセス設計から目標設定、数値可視化のための各部門への認識すり合わせなど全社を巻き込んでの推進が必要となります。
既存業務を進めながら、MA導入となるとなかなかプロジェクトが進まないことも多々あるので、われわれの様なマーケティング業者に専任でサポートしてもらい推進することをおすすめします。ぜひ、MA導入や運用でお困りの方はお気軽にご相談ください。