NFT(Non-Fungible Token)とは?ブロックチェーンによるデジタル資産を事例も交えてわかりやすく解説!

近年、テクノロジーの発展によりさまざまな価値創出がおきています。その中でも多くの人々が注目し、アートやゲーム、スポーツなどで活用され始めているのがNFT(Non-Fungible Token)です。本記事では、NFTとは何なのかわかりやすく解説するとともに現在どのようなサービスが注目されているのかについて事例を交えてご紹介します。

NFT(Non-Fungible Token)とは

NFT(ノン・ファンジブル・トークン)とは、Non-Fungible Tokenの略で日本では非代替トークンと訳されブロックチェーン(分散型台帳)技術を利用したデジタル資産をさします。この技術を活用することにより、NFTの持ち主は誰でも所有権を証明することができ、NFTデジタル資産として「唯一無二の存在」として扱われるためその所有権を複製することができません。これにより、固有の商品・サービスの価値最大化が可能となるのです。

NFTの歴史について

NFTの歴史

NFTの歴史は浅く最初のNFTは2012年のヨニ・アシア氏が公開したColored Coin(カラード・コイン)だと言われています。このColored Coinはビットコイン2.0プロジェクトの一部であり、ビットコインに色をつけることでユニーク性を担保し、不動産、紙幣、株式や債券などいろいろな資産と取引ができるプラットフォームでした。このColored Coinsを機に、より多くの人々が資産をブロックチェーンを利用したNFTとして発行する可能性に気づきはじめました。

2014年、ロバート・ダーモディー氏、アダム・クレレンステイン氏、エバン・ワグナー氏は、ビットコインのブロックチェーン上に構築したpeer-to-peer(ピア・ツー・ピア)の金融プラットフォームと分散型のオープンソースインターネットプロトコルであるCounterparty(XCP)を公開しました。このCounterpartyはColored Coinと同様、ビットコインの取引データに追加情報を書き込むことにより、ビットコインのブロックチェーン上のプラットフォームを実現しており、さらに分散型取引所、独自通貨の発行機能などが実装されているため注目を集めました。

そして2017年に公開されたCryptoKittiesでNFTが一気に広まり始めました。 CryptoKittiesは、プレイヤーが仮想猫を育て、こどもを産み新たな仮想猫を育てたり、取引したりすることが可能なブロックチェーンを基盤とした仮想ゲームです。このCryptoKittiesは、多くのニュースに取り上げられたちまち仮想猫が高額で取引されるようになりました。

2018年以降は世界中でさまざまなNFTエコシステムが構築公開されることで、NFTマーケットが急激な広がりをみせ、2021年にはNBAのNFTトレーディングカードやデジタルアートが数億円で取引されるなどNFTの勢いは止まりません。

NFTの構造と仕組みについて

イーサリアムNFTのERC721NFTを例にあげて解説します。ERC721NFT の場合、各トークンにIDとURI(Uniform Resource Identifier/ユニフォーム・リソース・アイデンティファイア)を紐付けて管理・運用されています。これにより、トークンごとに固有の価値を付与できる仕組みとなっています。

NFT構造と仕組み

特定のトークンはURIが指定するJSONファイルで管理されており、全コンテンツデータはテキスト化されJSONファイルで管理され、トークンIDと紐付き、NFTとなっています。またURIにはそれぞれのコンテンツのメタデータを記載することができる仕様となっているためデータの作成日、作成者、所有者、その他さまざまな情報などを付随する重要な役割を担っています。これによりNFTは固有の価値を有することができるのです。

NFT (Non-Fungible Token)とFT(Fungible Token)の違い

NFTとFTの違いは唯一無二のものとして所有権を持てるかどうかにあります。FTの場合、所有権が明確化できず、たとえばデジタルコンテンツは自由に複製できます。法律でコピーライトは守られていますが、簡単にコピーして流通されてしまいます。その際にそのコピーされたデジタルコンテンツの所有者がどこの誰なのかをすぐに明確にすることは難しいという課題がありました。しかし、ブロックチェーンでNFTとして利用することにより、分散型台帳として記録、誰がデジタル資産の所有者なのかを証明できるようになります。

NFTのメリットとデメリット

NFTのメリットとデメリット

NFTは多くのクリエイターやコレクターにとって新たなエコシステムとなるのは間違い無いでしょう。特に日本国内においてアニメやカードゲームなどは予想もできないほどのマーケットの広がりをみせると私は予想しています。しかし、NFTはメリットもありますがデメリットもあります。具体的にどのようなメリットとデメリットが考えられるのか紹介しておきましょう。

NFTの3つのメリットについて

  1. 唯一無二の希少性がある
  2. 歴史の一部を切り取り価値として保管できる
  3. 簡単に収集、価値交換&トラッキングが可能

NFTのメリットはさまざまありますが、1つ目のメリットとしてデジタル上でブロックチェーン技術により「唯一無二の希少性を作り出すことができる」、ということです。今まではCopy Rightなどの表記で所有権を表していましたが、即時に所有者確認や過去どのように交換されてきたのかの履歴を追うことができませんでした。しかし、NFTを利用することによりこれが可能となり唯一無二の希少性があるものとして扱うことができます。

2つ目のメリットは「歴史の一部を切り取り価値にできる」点です。たとえば、NBA Top ShotでNFTとして販売されている動画は歴史の一部としてデジタル資産として変換され高値で売買されています。

最後3つ目のメリットはスマホやPCが手元にあり、インターネットに接続できれば「誰でも簡単に世界中のNFTを収集、価値交換、トラッキングできる」ということです。

NFTの3つのデメリットについて

  1. 希少性 = 価値が高いわけではない
  2. オブジェクト(物体)を作り出していない
  3. 価値の根拠証明が難しい

なかなか語られていないNFTのデメリットについても解説していきましょう。まず1つ目のデメリットは、「希少性 = 価値が高いわけではない」ということです。たとえば、アートに知見も経験もない私がペイントツールで絵を描きNFTとして販売したとします。このNFTには希少性はありますが、果たして高値で交換される価値はあるのでしょうか。残念ながら高い価値がつくべきではない、一般的には考えられるでしょう。

2つ目のデメリットは実際に「オブジェクト(物体)を作り出していない」という点です。NFTはあくまでデジタル作品などのデータを唯一無二のものとしてブロックチェーン上に保管、価値交換するものです。そのため、価値創出をしていても新たにモノを生み出しているわけではありません。

最後3つ目のデメリットは「価値の根拠証明が難しい」ということです。たとえば、ネット上ではBeeple(ビープル)として活動しているアーティストMike Winkelmann(マイク・ウィンケルマン)氏が手がけたNFTデジタル作品が2021年3月12日に約75億円(6930万ドル)で落札されました。なぜ50億円ではなく約75億円の価値なのでしょうか。購入者がいたから、と言ってしまえばそれまでですが、この作品が約75億円の価値があるということを証明するのはとても難しいでしょう。

NFT事例紹介

日本国内でのNFTを活用したデジタル資産価値創出の事例はまだ少ないのが現状です。しかし、世界を見渡すとNFTを活用したさまざまな事例が出てきています。ここからは国内外のNFT事例についてご紹介していきます。

NFT事例1 | CryptoKitties

NFT事例 CryptoKitties

CryptoKittiesは、2017年11月頃からプレイ可能となったNFTで、さまざまな種類の仮想猫を購入、収集、繁殖、販売、できるオンラインゲームおよびDApp (decentralized application=分散型アプリケーション)です。このCryptoKittiesはブロックチェーンイーサリアムを使用しており、暗号通貨イーサで取引されています。

出典:https://www.cryptokitties.co/

NFT事例2 | NBA Top Shot

NFT事例 NBA Top Shot

NBA Top Shotは、2019年7月頃にに全米バスケットボール協会とNBAプレーヤー協会、ダッパーラボの間で始まった合弁事業で、NBA公式ライセンスとしてビデオハイライト番号付きNFTを購入、販売、取引できるブロックチェーンベースのプラットフォームです。これにより、NBAプレイヤーの驚異的なプレーやハイライトが個人のデジタル資産として保有できるようになり、ファンの間では高額で取引されています。

出典:https://www.cryptokitties.co/

NFT事例3 | NFTマーケットプレイス OpenSea

NFT事例 OpeanSea

OpenSeaは、ピア・ツー・ピア(peer-to-peer)の マーケットプレイスとしてゲームアイテム、デジタルアート、その他のブロックチェーンに裏打ちされた商品を購入・販売できるプラットフォームです。このマーケットプレイスではユーザー自身がERC721に準拠した形であればオークションをすることも可能です。

出典:https://opensea.io/

まとめ

いかがでしたでしょうか。NFTが希少だから価値が保障されている、という訳でもないでしょう、熱狂的なファンやユーザーが存在しなければ損失することもあるかもしれません。一方で、NFTはまだまだ成長の発展途上であり今後更なる活用が期待されています。また、今まで資産価値として考えられなかったものが高付加価値となりデジタル資産として広まるでしょう。

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