LTV(ライフタイムバリュー)とは?算出方法や事例をわかりやすく解説!

BtoB企業のマーケティングやWebマーケティングの担当者であれば1度はLTV(ライフタイムバリュー)について聞いたことがあるのではないでしょうか?

LTVは事業全体の価値を見極める上で非常に重要な指標となり、LTVを算出することで1顧客(社)の獲得単価にかけられるマーケティング費用を算出・把握できるため、マーケターにとっては必須の知識のひとつとなります。

今回の記事ではLTVの意味と算出方法についての基礎知識を紹介します。はじめて聞いた方やこれからLTVを算出する方は是非LTVの理解を深め自社事業拡大のため本記事を参考にしていただければ幸いです。

LTV(Life Time Value/ライフタイムバリュー)とは

LTVとはLife Time Valueの略称で、顧客が製品・サービスを一生涯かけてもたらす利益のことを指します。日本語では「顧客生涯価値」と訳され、多くの外資系企業やスタートアップ企業などでも重要指標として置かれてします。

なぜこのようなLTVの指標が重視されるのでしょうか?

それは市場との関わりにあります。一般的にマーケティング活動を進めていく上で、どの市場でも競合企業が参入し、競争が激化すればするほど顧客獲得費用も割増していきます。そうなると、市場のシェアを拡大するためには新規顧客獲得だけではなく、既存顧客の解約防止を努める必要があります。

もっとわかり易く説明すると、穴の開いたバケツにいつまで水を注いでも穴が大きければ大きいほど水量(市場)の増加は見込めないのです。

LTVは、このような顧客シェアの管理をするための重要指標のひとつとして、マーケティングだけではなく、カスタマーサクセスや営業など多方面で利用されています。

さらに、LTVは新規顧客獲得に対してどれだけの費用が費やせるかのリード獲得に対する費用を設定する際にも利用されます。自社製品・サービスのLTVをしっかりと把握することで、顧客1人あたりの獲得費用(目標CPA)の上限値を定めることができるのです。

LTV(ライフタイムバリュー)の算出方法とは!?

それでは早速LTVの算出方法をみていきましょう。LTVは以下で算出されます。

LTV=(平均購買単価×購買頻度×継続購買期間)―(新規獲得費用+顧客維持費用)

LTV算出事例 | ケーススタディ

たとえば、ひと月あたり6万円の製品・サービスを販売しているとします。毎月のサブスクリプション型で提供しており、年間25%の顧客が離脱していることがわかっています。

加えて、平均の顧客獲得費用が55万円、毎月のメルマガやユーザー管理システム(CRM)、ユーザー用ポータル運営費などの費用が年間ひとりあたり12万円だったとします。

その場合、以下のような算出LTVとなります。

CASE 1 | LTVケーススタディ

平均購買単価:60,000円

購買頻度:12回

継続購買期間:1/0.25=4年

顧客獲得費用/社(広告宣伝費などマーケティング費):55万円

顧客維持費用/社(メルマガやCRM費用など):12万円

(60,000円×12回×4年)―(550,000円+120,000円)=2,210,000円

つまりLTVは2,210,000円となります。

ではもう1つケーススタディをやってみましょう。

以下の場合はどうでしょうか?

CASE 2 | LTVケーススタディ

ひと月あたり8万円の製品・サービスを販売しているとします。毎月のサブスクリプション型で提供しており、年間90%の顧客が離脱していることがわかっています。

加えて、平均の顧客獲得費用が95万円、毎月のメルマガやユーザー管理システム(CRM)、ユーザー用ポータル運営費などの費用が年間ひとりあたり12万円だったとします。

平均購買単価:80,000円

購買頻度:12回

継続購買期間:1/0.90=1.11年

顧客獲得費用/社(広告宣伝費などマーケティング費):95万円

顧客維持費用/社(メルマガやCRM費用など):12万円

(90,000円×12回×1.11年)―(950,000円+120,000円)=-3,333円

LTVは-3,333円となるので販売すればするほど事業はマイナスです。

LTVケーススタディ

上記のようにCASE 1とCASE 2を見比べると、なぜCASE 2のLTVが極端に低いか、どこに改善の余地があるかの課題がみえてきます。赤字の解約率90%と新規獲得費用に問題がありそうですね。このように前年比や他のプロダクトとくらべてみるのも課題解決のヒントになるかもしれませんので、是非ためしてみてください。

LTV向上のカギは顧客のファン化と付加価値サービスの提供

CASE 1とCASE 2でわかったと思いますが、LTVの向上には解約率の改善のための製品・サービスの徹底的な磨きあげによる、顧客のファン化が必要となります。企業は顧客に対し質の高い製品・サービスを提供し、他ではなかなか入手できない価値を提供することにより、自社のファンになってもらうのです。

一度ファン化した顧客は、解約率の改善のみならず企業に対してさまざまな情報を提供してくれるようになります。たとえば、製品・サービスに関わるアンケート回答や導入・活用事例取材の対応など他企業への受注を促進するコンテンツさえも提供してもらうことができるのです。

LTVによる新規顧客獲得施策や顧客収益の分析

LTVを把握することで、新規顧客獲得の全体戦略設計から各施策のKPIまで明確に設定することができます。

たとえば、CASE 1では新規獲得費用が55万円でした。年間で50社分の売上が営業としての目標となる場合は、最低でも27,500,000円のマーケティング費用が必要になるでしょう。さらにこのコストをより効率的かつ効果的に実行するのであれば、各メディアやウェブ広告媒体、SEO対策による数値をみたうえで最適な施策に予算をかけ各媒体のKPIを定点観測する必要があります。

また、新規契約すればLTVは1社分の売上が加算されます。しかし、新規顧客獲得コストが1社分のLTV加算額を上回ってしまうと、新たな顧客を獲得しても損益上はマイナスになってしまいます。これは、既存顧客維持のコストが膨れあがりLTVの加算額を超えた場合も同じです。

つまりLTVが新規顧客獲得コストと既存顧客維持コストの合計金額をかならず上回ることは必須条件になります。もし、この条件を満たさないのであれば、購買単価、購買頻度、契約期間の向上施策を打ち、LTVを高める改善または顧客獲得・維持のコストカットをする必要があるでしょう。

LTVの課題と注意点

LTVはAccount Based Marketing(ABM)とCRM(Customer Relationship Management)が源流となっており、LTVの継続的な利用を進めるにあたり顧客データを正確に取得し管理する必要があります。事業全体において正確な数値が出せるデータベース基盤をしっかりと築きLTVだけでなくその他さまざまな観点の指標も算出できるように心がけましょう。

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